皆さん、こんばんは
私の住む山口県宇部市は少しずつ気温が持ち直し、比較的に暖かな気候が戻ってきております
しかしながら相変わらず空気が乾燥しており、世界規模で重大な火災が発生してますので、皆さんも火の元に十分お気を付け下さいね
ところで、今回で最終回を迎えるオヤジ探偵物語 行方調査シリーズ〜正義とは〜 第八話「永遠(とわ)」を長文にてお送り致します
F県K市にある、「お金次第で何でもOK、ナ◯ダシすら叶えます」がキャッチフレーズの富裕層に定評のある、◯◯という名で派手に営業している超高級デリヘルへ売られてしまった捜索中の高校一年生16歳の神代 由衣(くましろゆい)様をご指名し、いろいろな経緯を経て何とか奪還する事に成功した、しがない雇われオヤジ探偵の私はこのままご自分だけ助かったとしても、まだ他にも何人もの10代中頃くらいの女の子が高級デリヘル所有の高層マンション935号室にて指名があるまでずっと監禁に等しい状況で日々怯えているので、全員を早急に救い出して欲しいと、他ならぬ由衣様たっての涙ながらのご要望を受けた私達は悪質極まりない違法営業を平然と行っている超高級デリヘル◯◯の本拠地とされるCマンションへ修羅場を覚悟の上、急行するのであった…。
程なくして到着した目的地のCマンションは20階建てのいかにもデザイナーズマンションらしく、思わず気遅れしてしまいそうな程の綺麗な大理石であつらえた立派な正面エントランスの中へ一歩足を踏み入れてみると、床一面に敷き詰められた大理石が眩いばかりに輝いており、ここには選ばれし者のみが居住する事を許されているのであろうと、畏れ多い気持ちに押し潰されてしまいそうになる私達。
さすがの私も最後の決戦の場となるであろうCマンションを前に襟を正し、3人で慎重にあらゆる事態を想定して検討を重ねた結果、大切な我が息子18歳のY助手だけは危険な事に巻き込みたくないという過保護極まりない親心から、Y助手には調査車両ト◯タA◯86の車内にてこのまま待機して周囲の状況確認や緊急事態対応に専念し、万が一の場合は私やY女史の事を気にせず、由衣様の身の安全だけを最優先に考え、どんな手を使ってでも山口県へ由衣様を無事連れ帰るように絶対命令の指示を出し、残りのしがないオヤジ探偵の私と我が最愛のY女史は最警戒の下、ハイレベなセキュリティシステムに守られたCマンション935号室を目指すのであった…。
超高級デリヘル◯◯送迎担当の輩達から予め聞いていた情報通り、エントランス中央に設置してある、小型監視カメラを内臓する銀行のATMに似た機器のタッチパネル画面に4桁の暗証番号『1129』を入力し、お住まいの方のみに配布されているというメタリックゴールドの薄手だが頑丈なカードを挿入口へ差し入れると、第三者による侵入防止のために施された厳重セキュリティを無事に解除出来たようで、「お帰りなさいませ、本日は一段と冷え込む予報が出ております。」と、天気予報までアナウンスしてくれるという親切な気配りが嬉しい自動音声が流れ、同時に分厚いガラス張りの両開き自動ドアが音もなくスッと開く…。
重厚なガラス張りの自動ドアから更に歩を進めると、すぐ目の前にドンと構えるハイスピードエレベーターがあり、扉の右横には通常の上下ボタンの他にカードの挿入口がある事に気付く私。
どうやら、ここの居住者専用カードを差し込むと自動でお部屋のある階で止まるように設定されているようで、私的にはその必要性に思わず首を傾げてしまう、過去に一度も見た事もなく、全く無駄としか言いようのない贅沢な代物でしかなかった…。
そんな厳重なマンションへの進入を難なく果たした私達はお目当ての9階935号室の前まで辿り着くのだが、今からどんな強面の輩とご対面するのか分からないまま必死にイヤイヤと首を左右に振る、相変わらずダダっ子のY女史へ打合せ通りきちんと役目を果たすように、ニッコリ笑顔で優しく促す⁉︎私は玄関ドア裏側の死角へ身を潜める事にする…。
「ピンポ〜ン、ピンポ〜ン、ピンポ〜ン…。」と、10回以上呼び鈴を平気で鳴らす非常識極まりないY女史へ一度たりともそんな訳の分からない指示を出していない筈であったのだが…。
「おはようございます〜、お醤油が切れちゃって朝ご飯が間に合わないんです〜!
未使用品一本だけで許してあげるので、さっさと分けて欲しいんですけど〜!
あと〜、生卵5パックと海苔もあればとても助かります〜!」と、恐ろしい内容のアドリブを余裕でかます、おイカれマックスのY女史。
「誰だ、てめぇ〜!
朝っぱらからインターホン越しに大声出しやがって!
生卵か何か分かんねぇけど、お前なんかに何でくれてやらなきゃいけないんだよっ!
全く意味が分かんないぜっ!
さっさと消え失せろっ、クソババア!」と、ごもっともな対応をする少々切れ気味の輩1号。
「何よ失礼ねっ、クソババアって!
心は永遠に10代の乙女のままなのに…。
トム◯ルーズ似の夫だって、毎晩のようにベッドで優しく腕枕をしてくれて、『ピ〜ちゃんはいつも可愛いでちゅね、今夜もいっぱいチュ〜してあげまちゅよ』って、気色悪い事をほざきながら、私といっつもエッチしたがってるのよっ!
お陰でいつの間にかこんなになっちゃった…。」と、ご自慢の小さな胸⁉︎を誇らし気に揺らしてみせる、まさに何かの火が付いた⁉︎Y女史はエヴァン◯リオン主人公の碇シ◯ジ君の指示に従わず暴走中のエヴ◯初号機の如く、ポケットから取り出したカードキーをおもむろに差し込んで、躊躇なく935号室のドアを開けて部屋の中へスタスタと入り、色気たっぷりのヤラシイ顔でスカートの裾を太もも辺りまで恥ずかしそうに捲り上げ、頬を赤らめて照れ笑いをするというグラビアクイーンも真っ青の、まるでヒロ◯ンを10本くらい打ってる⁉︎としか思えないような全く想定外な暴挙に走るのであった…。
「おい、おいオバサンっ、勝手にドアを開けて入って来んなよっ!
って言うか、このドアは完全オートロックの筈だったが、一体どうやって入って来たんだ?」と、自動ロックされた玄関ドアを平然と開け、突如現れたキャバ嬢のようなド派手な衣装を身に纏い、フワフワのスカートを捲り上げるY女史の突拍子もない姿を前に、何が起こっているのかチンプンカンプンで驚きを隠せない様子の輩1号。
「もういいから、さっさと出てってくれよっ!
頼むからさっ!」と、そんな無防備極まりないY女史の様子に少し心を許したのか、そのまま玄関ドアの外まで優しくエスコートする意外にも紳士な対応の輩1号。
玄関ドアの死角に身を潜め、自分の出番を待ち侘びる私はここぞとばかりにドアを体当たりで勢いよく閉め、頭と体を酷く打ち付けた輩1号は思わず地面にしゃがみ込んでしまう…。
すかさず、渾身の一撃を誇る鋼鉄の踵落としを綺麗に決め、強面の輩1号をひと時の幸せに満ちた安らかな夢の世界へと誘って差し上げる私。
「おい、どうした?」と、奥のリビングから姿を現す、風神雷神様のような可愛らしい⁉︎鬼の形相をした輩2号は玄関前で完全に伸びている輩1号の頭をコスプレ好きのY女史が微笑みながらそっと優しく撫でているという、明らかに異様な光景を目の当たりにし、慌てて中から飛び出して来るのであったが、玄関ドア裏から音もなくスッと現れた、米◯製特殊警棒を頭上に高らかとかざしてニヤリとほくそ笑む私の存在に気付くのが遅れてしまい、輩1号と共に仲良く保育園のお昼寝タイムを過ごす事になる…。
玄関前にて横たわる二人の輩達を室内へ強引に引きづる私は久しぶりのコスプレ姿がとても気に入ったご様子のY女史と仲良く手を繋ぎ、二人でそそくさと中へ踏み込むとそこには、スカートを目一杯捲られてお尻を突き出した状態でソファにキツく固定されている、10代初め〜中頃くらいの可愛らしい少女4人がアラレもない姿を晒しており、いつぞやの『倫理!』を無意識に叫び出しそうになるのをグッと堪え、ちっちゃなおシモ⁉︎を押さえつつも必死に平静を装う私はこのクソ輩達と何も変わらないヤラチイ男⁉︎である事を改めて認識するのであった…。
「いつまで女の子達の割◯目をジロジロ見てるのよっ!
全く男って生き物はこれなんだから…。
SMプレイの動画でしか見た事のない、こんないかがわしい拘束器具なんてさっさと外してあげなさいよっ!」と、ドキドキと高鳴り続ける心臓の鼓動が未だに収まらない私へ容赦なく鋭い視線を向けるY女史。
「おっとそこまでだっ!
大人しくしてもらおうか、これが見えないのか?」と、キラリと光るサスペンスドラマでもよく使われる『BUCK110』という型式のフォールディングナイフを風呂上がりでまだ湯気の立ち昇る、5人目の少女の喉元にかざす強面の輩3号と、更に6人目の意識を失ったままの少女をまるでリュックのように軽々と背負う筋肉隆々で190センチくらいあるであろう高身長のパワーゴリラ的輩4号が決して広くない浴室からゆっくりと姿を現す…。
「そちらこそ大人しくして頂きましょうか!
あなた達にとって大切な商売道具である、そこのソファで可愛くお尻を突き出してるお嬢様方へ一人残らず、一週間お風呂に入ってなくて、凄まじい程の悪臭を放つ、それはそれはバッチいチンチ◯をたっぷりとぶち込んで、全員一律使い物にならない末期的なお病気の刑に漏れなくして差し上げますよ!」と、ズボンのファスナーを素早く下ろし、大層貧相なイチモツ⁉︎を惜しみ無く晒す、馬鹿タレ街道真っしぐらな私は一番お気に入りのパイパ◯少女へ腰を屈めて近付き、心行くまで『楽◯カ〜ドマン』ならぬ『楽◯ヤ〜リチ◯』を試みようとする私。
「おい、おい、ちょっと待てよ!
そんな汚ったないブツでみんな汚されちまったら、マジで売り物にならなくなるじゃねぇかよっ!
こいつらにこれまで一体幾ら投資してると思ってんだよ、このクソったれジジイっ!」と、まるで絶賛売り出し中の駆け出し新人アイドルを抱える芸能事務所社長のようなお決まりの文句を言う輩4号。
…と、同時にトイレから素早く飛び出して来た、私と同じく160センチくらいの低身長だが、スラリとした無駄のない動きをするシーフ的存在である若造の輩5号は迷う事なく私の背中の中央辺りへ見事なまでに深々と鋭いナイフを突き刺す…。
そんなナイフが背中に突き刺さったままの状態でも全くお構いなしに、お気に入りの少女から片時も離れる事なく、猿のように延々と激しく腰を振り続ける私は打ち出の小槌のように金のなる木をまんまと私のバッチい病気持ちのチン◯で汚されて激しく怒り狂う、強面の輩3号や4号からも左右の両脇腹目掛けて、思いっ切りナイフを突き立てられてしまうのであった…。
そんな三本のナイフと戯れる私を尻目に、どさくさ紛れに少女達の拘束器具全てを辛うじて外し終わったY女史ではあったが、複数のナイフに刺されてもがき苦しみながらも、ひたすら腰を振り続けるという、完全にイカれた私の凄まじいまでの性欲を目の当たりにし、恐怖すら覚える少女達はみんな一斉に失禁して腰を抜かしてしまう…。
やむを得ず⁉︎緊急避難さながらに、自分だけでも助かろうと玄関ドアへ一目散に突っ走る、相変わらずしたたか極まりないY女史はいつの間にか意識を取り戻した輩1号と2号に玄関までの道のりを完全に封じられてしまい思わず怯んだ瞬間、その研ぎ澄まされた鋭利なナイフを一本ずつお腹と背中へ喰らい、私と同様におぞましい悲鳴を上げながら、床暖房の効いた暖かいフローリングの床へ転がるように倒れ、運悪く更に深く二本のナイフが突き刺さってしまうのであった…。
「ざまぁ〜ね〜なぁ…。
兄貴、コイツらの後始末はどうしますか?」と、ご遺体と化した私を激しく蹴り続ける輩1号。
「かなり大量の血で床が汚れちまったから、俺達だけじゃ掃除仕切れないぞ…。
完全無敵の防音壁で囲まれた特注の部屋だが、両隣りの奴らにこの騒ぎが聞こえてない保証はないし、万が一ポリの野郎が現れたら面倒な事になるから、今回ばかりは専門のスイーパーに頼むしかなさそうだなぁ…。
せっかく今までせっせと汗水垂らして貯め込んだゼニが一瞬で吹き飛んでまうじゃね〜かっ!」と、死後硬直し始めた⁉︎私へトドメの最強の一蹴りをかます輩4号。
「兄貴、コイツらどうやってここまで来れたんでしょうね?
そもそも外部の人間だったら、厳重なセキュリティが自慢のこの建物内に誰の許可もなく、すんなり入って来れる訳はないし…、コイツら本当にお隣りの住人で醤油か何かをただ借りに来ただけだったんじゃないんでしょうか…。」と、少しずつ頭が回り始める輩2号。
「確かにその可能性はあるなぁ…。
そうなると、コイツらがいつまで経っても帰って来ない事を不審に思ったコイツらの子供が今頃、目の前の通路で探し回ってるんじゃないのか?
おいっ、お前ら辺りを見て来い!」と、さすがにリーダー格なだけはあり、現在の状況を様々な角度から正確に把握しようとする輩4号。
下っ端の輩4人が部屋を出た事を確認した輩4号は念のためベランダへ出て、パトカーが集結していないかどうか周辺道路の状況を確認し、全く異常は見当たらず室内へ戻ろうとするのだが、防弾ガラス仕様のような特注らしき分厚い掃き出し窓が内部からきっちりロックされている事に気付く…。
「クソっ、ヤっちまった!
ここもオートロックだったのか…。
外からじゃ中の様子が全く見えないし、オートロックの玄関ドアも開けてやれないぞっ!」と、自分の詰めの悪さを思い知る輩4号は重厚な造りの掃き出し窓を思いっ切り蹴り上げて割ろうと、懸命にもがくが全く歯が立たず、ピクリともしないのであった…。
「掃き出し窓が自動でロックされてしまったら、ベランダでお洗濯物を干す可愛いママちゃんが室内へ戻れなくなるから、絶対にあり得ないって事が何で分からないのかなぁ…。」と、血糊でベタ付いた上着と、米◯製軍事仕様の対衝撃用防弾・防刃チョッキをその場へさっさと脱ぎ捨てる私。
「全く酷い目に遭ったわよっ!
あんたの考える作戦って、いっつも死ぬ一歩手前の緊急事態バリバリの激ヤバばかりじゃないのっ!
私も血糊で汚れちゃったから、ちょっとお風呂借りるわね?」と、呆気に取られて放心状態の彼女達からお風呂を使っても良いのか答えをまだ聞いていないにも関わらず、さっさと浴室へ姿をくらますY女史。
「ピンポ〜ン、ピンポ〜ン…。」と来訪者を告げる心地良いベルが鳴り、インターホンの画面越しに汗だくの輩4人の姿が見える。
「どちら様でしょうか?」と、鼻を摘みながらふざけた声を出す私。
「開けて下さい、兄貴!
通路やエレベーターなど一通り見て来たんですが、夜もまだあけてない朝の5時なんで、誰一人いなかったですよ!」と、片手で額の汗を拭く輩達。
「駄目だ、駄目だ、全く話にならん!
建物内全ての階の通路までじっくり確認して来いっ!
いいな、分かったかっ!」と、依然として鼻を摘んだままのふざけ切った声を出す私であった…。
「さっ、今の内にお嬢様方も皆さんゆっくりお風呂に入られて下さい。
急がなくて結構ですから、ゆっくりと身支度をされて下さいね。
幸いにもこの部屋にはあらゆるジャンルの可愛らしいお召し物が豊富にございますので、お好きなお洋服を心行くまでお選び下さいませ。
準備が整い次第、ここを離れますよ。」と、今までの出来事がまるで無かったかのような涼しげな顔で、お嬢様方お一人お一人への気配りを忘れず、親切に対応する私。
「私はこれが好きかなぁ…。」と、スカートの丈がやたら短い名門女子高生っぽい可愛らしい制服を着こなし、終始ご満悦な様子のY女史。
「いつもながら可愛く見えるね。」と、少しオーバー気味にY女史を褒めちぎる、至ってジェントルマンな私は先程からインターホン越しに中へ入れて欲しいと、しきりに懇願する健気な輩4人にもご慈悲を与えるべく、ご希望通り玄関ドアのロックを外してあげる事にする。
「うぎゃ〜!」と、この世に生を受けて産ぶ声を上げる赤ちゃんの如く、可愛いらしい声⁉︎で叫んだ瞬間、それぞれの頭から激しく煙が立ち昇り、まるで産婦人科のベッドで指を咥えながらスヤスヤおネムをするように、モルタルの冷たい床へ仲良く一斉に倒れ込んでしまう、呆気ない程にヘタレなダ◯ゴ3兄弟ならぬ強面4兄弟なのであった…。
「あちゃ〜、間違って放出電流を対グリズリーレベルまで上げてたよ…。
まっ、いいか。」と、例の米◯製特殊警務用スタン◯ンをポケットへそそくさと仕舞い込み、共有通路に転がる輩4人をお部屋の中へ優しく押し込んだ私は部屋中を隈なく捜索した末、巨額の資金がたんまり貯め込まれているF岡銀行の通帳とキャッシュカードを探し当て、また大理石で出来た立派なテーブルの上に広げられたままのハイスペックなノートパソコンをほんの少しだけイジらせて頂き、超高級デリヘル◯◯のホームページをアカウントごと完全に抹消した上、先程の預金通帳やキャッシュカード、そして複数の携帯電話をパソコンの上へ綺麗に並べ、100均ダイ◯ー様で購入した4本セットの旧式ライターで跡形もなく燃やして差し上げるのであるが、思いの外プラスチック素材が程良く燃えているので、早めに彼女達へ身支度を終えて頂き、監禁部屋の外から玄関ドアのカード挿入口などあらゆる隙間にこれまた100均ダイ◯ー様で調達した瞬間接着剤をご丁寧にもたっぷりと流し込み、借り物の高級スーツの上からシルクのロングコートをビシッと羽織る私と、数十年振りの女子高生ルックがとても新鮮なY女史、そしてそれぞれ思い思いの可愛らしいお洋服に身を包む彼女達はCマンションから無事に全員脱出を果たす…。
周囲を見渡し調査車両A◯86が予定通り駐車されていない事を確認した私とY女史は優秀で思いやり溢れるY助手ならきっと由衣様を山口県へ連れ帰ってくれるだろうと信じ、数々の恐怖を嫌というほど味合わされて、頑なに身を寄せ合う彼女達をご自宅まで無事送り届けるため、やむを得ず手配したクレカ使用可能なタクシー2台にそれぞれ分乗する際、複数台の緊急消防車両らしきサイレンが遥か彼方から微かに聞こえてくるような気がするのであった…。
その後、何度も丁寧にお辞儀を繰り返す礼儀正しい彼女達を全員きちんとお見送りし終えた私達はそのままタクシーを飛ばして頂き、とある場所へと向かう事にする。
小一時間ぐらいでF市にある指折りの進学校というD女子高等学校の正門前へ到着した私達はある人物の登校を待つのであった…。
複数の先生方が立哨されている中、程なくして現れた、例の廃墟の壁一面に貼られた無数の生徒手帳の一番右端でたまたまお見かけした、ひときわ輝く一人の清楚な高校生のお嬢様へ礼節を極めたお辞儀を深々とした上、優しく話し掛ける私。
「大変失礼ではありますが、佐久間 麻里様でいらっしゃいますね。」と、いきなり出だしからフルスロットルで核心に迫ろうとする私。
「えっ、あなた方はどちら様ですか?
いえ…、私をあの暗闇から助けて下さった方々ですね…。
どうしてここが分かったんですか?」と、ふいに声を掛けて来た私やY女史を前に、あの時の辛い思いがフラッシュバックし、酷く動揺する麻里様。
「な〜に我々は通りすがりのただの中年オヤジと、忠実なしもべ⁉︎ですよ。
本日お伺いさせて頂きましたのは、とある方のお母様からお預かりしている『お手紙』を貴方様へお渡ししたく馳せ参じた訳なんです。
もちろん受け取って頂けますよね?」と、明らかに否定させない物言いをする私。
「はい、分かりました。
もちろん大丈夫ですけど…。
これってもしかして…。」と、その眩いばかりの可憐な瞳をした素敵なお顔を曇らせて、更に情緒不安定になる麻里様…。
「貴方達はどちら様でしょうか?
うちの生徒に何かいかがわしい事をしてるんじゃないでしょうね!
いい加減にしないと、警察を呼びますよ!」と、今にも泣き出しそうになる、そんな彼女を心配した心優しき先生が自ら盾となるように、私達の間へ無理に割り込もうとする…。
「先生、大丈夫なんです。
この方達は全く問題ありません…。」と、心配してくれる先生を安心させて、出来る限り遠ざけようとする麻里様。
「確かにお手紙を拝見致しました…。
厚かましいかもしれませんが、一つだけお願いがあり、私の代わりに由衣ちゃんへ必ず伝えて頂きたい事があるんです…。
あなたとの出会いをこれからもずっと忘れはしないし、本当に大切なたった一人の親友だった事だけはどうか信じて欲しいと…。」と、遠い目をした瞳に大粒の涙を浮かべる麻里様。
「本当に大切な親友だったなら、なぜ由衣さんをあんな極悪な奴らへ引き合わせたんですかっ!」と、すかさず厳しく追求するY女史。
「由衣ちゃんを引き合わせたなんて、酷い誤解なんです!
あの日、由衣ちゃんと二人で仲良く街中を歩いていたら、たまたまアイツらに見付かってしまい、私達はアイツらから逃げようと必死に抵抗して、道行く周囲の人達へ何度も助けを求めたんですけど、あっち系の人とのトラブルには関わり合いたくないようで、誰もが見て見ぬ振りをするんです…。
頑なに嫌がる私達を大きな白い車の後部座席へ押し込み、例の山奥の恐ろしい場所までまんまと連れて行かれてしまい…、後の事は皆さんもご存知の通りなんです…。」と、その場にうずくまり肩を振るわせ、激しく泣き出す麻里様…。
「私だって、犠牲者の一人なんですよっ!
二週間前頃、下校中の学校付近でアイツらに無理やり車へ連れ込まれ、あのいかがわしい場所で携帯電話の動画撮影をされながら、何度も代わるがわる襲われた上、生徒手帳まで取り上げられてしまい、動画のデータや生徒手帳を返して欲しかったら、私の身代わりを探して来るように何度も脅されてたんです…。
でも信じて下さい!
私は身代わりを見付ける気なんてサラサラないし、私が黙ってさえいればあんな酷い事をされたなんて、誰にもバレないと思っていたのに、あの日たまたま街中でアイツらと再会してしまって、由衣ちゃんと私は二度と思い出したくもない、悪夢のような酷い目に遭ってしまったんです…。
私は一体どうしたら良かったのでしょうか?
一番最初に襲われた時にアイツら全員を皆殺しにして、私もどこかの安らかな場所で死んでしまえば良かったのかなぁ…。
巻き込んでしまってごめんなさい!
本当にごめんなさい、由衣ちゃん…。
あなただけでも助けてあげたかったのに…。」と、思い切り泣きじゃくり、ほんのり頬を高揚させたお人形さんのような綺麗な面持ちをする麻里様はふいに天を仰ぐ…。
「それと…、私の名前は本当に佐久間 麻里で、この学校に通う由衣ちゃんと同じ16歳の高校一年生なんです…。
由衣ちゃんがどうしても私と逢いたくて、志望するK大学法学部に私が在籍してるようにお母さんへ話せば、きっと逢いに行ってもいいと言う筈だからと言い張るので、仕方なく歳上の女性を演じていただけなんです…。
これが全てで、これ以上でもこれ以下でもありません!」と、あの廃墟で無数の少女を毒牙に掛け、人の面した正真正銘の無慈悲な悪魔その者で間違いない輩3人組が引き起こした、一切落ち度のない一連の犠牲者でもある、か弱きお嬢様方の一人だった、いたいけな佐久間 麻里様を何も言わずに優しくそっと抱き寄せるY女史と、その横で可愛くもないバッチいだけの雫を流す…、意外にも涙脆いしがない雇われ探偵の私なのであった…。
そんな深く傷付いた佐久間 麻里様と永遠のお別れを済ませた私と妻のY女史は散々悩んだ挙句、F県警N警察署へ自首する道を選び、事の顛末を洗いざらい捜査官の方々へ幾度となく同じ事を繰り返し説明して、後は司法の判断に身を委ねる事にするのであった…。
「全くあなたって人は私の予想を遥かに超える素晴らしい働きをしてくれましたね…。」と、N署の地下にある空気の澱んだ留置場で静かにじっと過ごす、顔中髭にまみれた私の下へ再び姿を現す、いつぞやの名前も階級すら教えて頂けない紳士。
「あなたが探していた高校一年生の神代 由衣さんと同じく親友の高校一年生、佐久間 麻里さんの携帯端末最終履歴の位置情報を特別に教えただけなのに我々より先に、しかもこんな短期間で関係する事件を全て闇に葬るとは大したものですよ…。
『人は強くなければ生きていけない、そして優しくなければ生きている意味がない。』と、どこぞの探偵小説にある台詞をそっくりそのままパクって、会社理念として高らかに掲げる、そんなあなたが所属する探偵社全力を民間の一弱小探偵事務所呼ばわりした事を今ここで心の底から深くお詫びさせて頂きます!
誠に申し訳ございませんでしたっ!」と、ついに斜め90度まで深々と頭を下げる紳士。
「ここF県は世界的にも平和が売り物の日本の一部なんです…。
あなた達が丸一日と少々の間、深〜い眠りの中で見聞きした様々な事はあくまでも夢の中で起こった出来事に過ぎず、現実とは一切掛け離れた絵空事だったんですよ…。
という事で、現時刻を持ちまして、私の細やかな権限の一つではありますが、あなたも奥様も何ら罪に問われる事なく、速やかに山口県へお帰り頂けます。
もちろん上限額一杯のクレジットカードをご利用されなくても、お帰りの新幹線代はグリーン席で差し支えなければ、私が個人的に至急手配致します。
今後ともあなた方の更なるご活躍を、F県から心よりお祈り申し上げます!」と、今まで見た中でも最上の敬礼をきっちりと決め、感極まり涙で目が潤む私へ優しさに満ちた温かな微笑みを浮かべながら、病室の時と同じく何事もなかったかのように足音を立てず足早に立ち去る…、間違いなくトップクラスの警察官僚であろう、最後の最後まで名前も階級すら教えて頂けない最高にイカした紳士であった…。
その後、山口県宇部市へ無事に帰る事が出来た私とY女史は古びた事務所で一人待ち侘びる、我が最愛の息子Y助手との再会を果たし、神代 由衣様が今も入院されているという個室をみんなで訪れる事にする…。
「私のために危ない目に遭いながらも、監禁されていた女の子を全員救い出して下さった事を改めて御礼申し上げます。
本当にありがとうございました!」と、深々と頭を下げる神代 由衣様。
「娘を助けて頂き、本当にありがとうございました!
この御恩は一生忘れません!」と、泣きはらして目の周りが腫れるお母様の早苗様。
「オジちゃん達、絵奈との約束を果たしてくれて、ありがとね。
私が大きくなったら、オジちゃんかY君のお嫁さんになってあげるかもよ。」と、出会ったままのニコニコ笑顔がとてもお似合いな次女の幼き絵奈様であった…。
また、1ミリも違わずこれからも『永遠』に親友であり続けるであろう佐久間 麻里様から直々にお願いされている申し送りを由衣様だけに聞こえる小声で、手短に済ませた私達は神代様御一家へビシッと敬礼をかまし、速やかに病室を後にしようとするのだが…、全身傷まみれの私や、肋骨に二箇所ヒビが入る痛々しいY女史、そしていつまでもずっと由衣様の側にいてあげたそうな表情をするY助手を何とか引き留めようと必死に泣き叫ぶ、そんな心優しき神代 由衣様へそっとさり気なく手をかざす私は今まで起きた事など、もうどこにも存在せず、関わった輩達の生死すら今となっては知る由もない事から全ての時を巻き戻し、安らかな笑顔に包まれるあの頃のように穏やかな日々が再び由衣様の下へ訪れる事を心の奥底から願ってやまない、そんなしがない雇われオヤジ探偵の私は来月分のクレジットカードの支払い額のあまりの凄さにいっその事、夜逃げでもしてしまおうかと、本気で悩んだ事は言うまでもない…。
【あとがき】
今回で最終回を迎えたオヤジ探偵物語 行方調査シリーズ〜正義とは〜をお読みになりどのように感じられたでしょうか?
やり場のない様々な汚らしい人間模様や繰り広げられる数々の壮絶な出来事など、現実世界でも日々絶え間なく繰り返されている筈ではありますが、全て明るみに出る事は決してないのも事実です…。
皆さんはいざご自分が実際にこのようなピンチに陥った際、あらゆる障壁にもめげず毅然と立ち向かい、果敢にも救い出してくれる方が身近にいらっしゃいますか?
偉そうな事を言う、そんな私も自分の半径2メートルぐらいしか守り抜く事は出来ません。
しかし、本当にお困りの方を目の前にして、勇気を振り絞り、優しく声を掛けてあげる、そんな些細な事だけでも救われる命がきっとあるはずなんです。
出来る事ならば、皆さんにも親切の押し売りだと例え周りから罵られようが、その勇気ある一歩を踏み出して頂きたいものです。
長くなり過ぎましたので、この辺で失礼させて頂きますね。
第8話までのご拝読、誠にありがとうございました!