動物はどこから採血するか、知ってますか?
最もオーソドックスなのは前足の血管(橈側皮静脈)で、
この血管は人とほぼ同じ要領で採血や点滴の針を入れられます。
技術的にも比較的簡単で、やんちゃな子でも採血の手を押さえやすく、
お利口なワンちゃんなら「お手」をする感じで素直に血を取らせてくれますので、
多くの病院では前足から採血をすることが普通になっています。
もう一つは首の血管(頸静脈)です。
頸静脈はかなりくて丈夫なのが良いところで、繰り返して採血しても大丈夫です。
前足の短い犬種(ダックスなど)や、手を握るのを嫌がる子(ネコなど)では、
首のほうがお利口さんに触らせてくれることが多いようです。
それでは、ドッグギャラリーではどうかというと、、
以前は前足の血管をよく使っていたのですが、
大学病院で診療をさせてもらっている間に「頸静脈」からも採血するようになりました。
これにはいくつか理由があります。
ひとつは、前足の血管を点滴する時のために温存したいからです。
腫瘍のワンちゃんは抗がん剤投与や体調を整えるために、点滴をすることが多いので、
大学病院の腫瘍科では頸静脈採血が鉄則になっていました。
片方の手で採血をして、もう片方を点滴に使うこともできますが、
明日の生死を決める薬を投与するための、大事な大事な血管ですので
失敗して腫れ上がらせてしまったら目も当てられません。
ふたつめの理由は、患者様のおかげです。
頸静脈の採血では、左手の親指で血管を怒張させつつ、
人差し指で顎を上に背けておくというちょっと難しいことをするのですが、
ドッグギャラリーのワンちゃんたちはオスワリとマテの上手な子が多いのです。
とはいえ、
どちらがいいかは、本人の好みもありますので、
様子を見ながらその子に会った方法を選択するようにしています。
頸静脈からの採血は見た目は痛そうですが、
じっとしていてくれれば前足よりも早く採血できるので、
ビックリしないでくださいね!