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- 政治家等を通してみる市民 ―「強い物言い」から分かること― とある法学徒の社会探訪
- 本稿の内容は、ある意味では、自戒を込めたものでもあります。 政治家なりタレントなり(以下、政治家等といいます)がする「失言」や「厳しい物言い」、あるいは「正論」などいったもの(以下、「強い物言い」といいます)は、必ずしも「失言」などではないように見えます。政治家にとってその発言…
とある法学徒の社会探訪 - 政治家等を通してみる市民 ―「強い物言い」から分かること―
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- 名誉の法益性 とある法学徒の社会探訪
- 伝統的に、法益(法律上保護されるべき利益)には、生命、身体、自由、財産に加え、名誉が含まれてきました(例えば、刑法230条及び同222条の加害内容参照)。しかし、現代を生きる我々にとって、名誉の法益性は、必ずしも直感的に把握できるものではないかもしれません。それは、名誉概念それ…
とある法学徒の社会探訪 - 名誉の法益性
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- 「法文をテクストとして解釈する」ということ とある法学徒の社会探訪
- わが国の「法」は、まずもって、条文の形で存在しています。そのため、わが国は「成文法国」とか「制定法国」などといわれることがあります(対義語は、不文法国、判例法国でしょうか。両者は厳密には異なるのですが)。そこに「文」が存在するとき、我々はその文の内容、つまりは意味内容の看取・理…
とある法学徒の社会探訪 - 「法文をテクストとして解釈する」ということ
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- 「法の解釈」に関する連載の予定について とある法学徒の社会探訪
- 法律学に関わるようになってからそれなりの時間が経ち、また、その関わり方も、今や受動的なものではなくなり、能動的なものになってきました。そうしているうちに、幾度も「法の解釈」というものそれ自体を考える機会も増え、また同時に、悩み、また失望もし、あるいはまた一定程度の望みを持ったり…
とある法学徒の社会探訪 - 「法の解釈」に関する連載の予定について
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- 刑法解釈学の特殊性 とある法学徒の社会探訪
- 少しずつリハビリを兼ねて、割合書きやすいものを提供したいと思います。 法の解釈というものは「難しい」ものです。それは解釈手法の多様性にも由来していますし、そもそも「(条文や判例といった)テクストを解釈する」だけでなく、「社会的事実を解釈する」という問題もあり、かなり複線化するか…
とある法学徒の社会探訪 - 刑法解釈学の特殊性
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- 5ヶ月ぶりの雑感 とある法学徒の社会探訪
- 気づいたら、5ヶ月もの間を空けてしまい。定期的にものを書くことが諸般の事情で難しくなったとはいえ、ここまで空いてしまうと、(以前にもそう書いたような気がしますが)書くこと自体から離れてしまい、身の周りのものへの観察も怠るようになってしまうという負の側面が際立つように思います。光…
とある法学徒の社会探訪 - 5ヶ月ぶりの雑感
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- 嫉妬について とある法学徒の社会探訪
- ある主張に対して、批判がなされたとき、その批判を「嫉妬しているだけ」といなすようなやり方をしばしば目にします。言うまでもなく、この「方法」については、疑問を投げかけるべきでしょう。 この「方法」には2つの問題があります。1つは、批判の内容に目を向けず、自省がなされていない点であ…
とある法学徒の社会探訪 - 嫉妬について
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- 「定義をする」ということ ―いわゆる「答案作成」に当たって― とある法学徒の社会探訪
- 法律学の試験問題というのは、だいたい、「○○について論じなさい」と、ある概念や判例の説明を求める、いわゆる「一行問題」と、「XとYの法律関係を論じなさい」(民法)、「Xの罪責を論じなさい」(刑法)、「裁判所はどのような判決を出すべきか」(民事訴訟法)、「Kの行為は適法か」(刑事…
とある法学徒の社会探訪 - 「定義をする」ということ ―いわゆる「答案作成」に当たって―
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- 訃報 とある法学徒の社会探訪
- 1月27日、早稲田大学元総長の西原春夫先生がご逝去されたとの報に接しました。94歳だったとのことです。西原先生は、早稲田刑法学の巨人で、多くの門下生を輩出されており、その門下生は、学界・実務の双方において、刑事法学を支えられています。西原先生といえば、間接正犯や過失犯における「…
とある法学徒の社会探訪 - 訃報
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- 法における「身体」 とある法学徒の社会探訪
- どうも執筆から離れてしまっていて、よくないなと思いつつも、書ける範囲のことはそれほど多くはないのだと自覚しないわけにはいられません。もしかすると、これが年内は最後の投稿でしょうか。ーーーーー法において、「身体」は基本的な利益の1つです。そして、利益序列の中でも、生命について第2…
とある法学徒の社会探訪 - 法における「身体」
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- 「呪い」について とある法学徒の社会探訪
- 先日、千葉雅也ほか『ライティングの哲学』(星海社)を購入し、少しずつ読み進めたところです。 法律家は、実務家、理論家(そして、学生)を問わず、「書く」ことを運命づけられています。とりわけ学生の間の「答案」などは、書く内容が限定されていて、書くことそれ自体に「苦しみ」を伴うことは…
とある法学徒の社会探訪 - 「呪い」について
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- 「個人的には…」 とある法学徒の社会探訪
- ある一定世代から下が顕著なように思えるのですが、「個人的には」と前振りを入れてから話を始める人が、かなりいる印象を持っています。正直にいって、私にはこのエクスキューズ(言い訳)の必要性がわかりません。特に、端からその人の見解を聞いているときに「個人的には」というのは、当然の前提…
とある法学徒の社会探訪 - 「個人的には…」
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- 「天才」の活躍を出す小説への違和感 とある法学徒の社会探訪
- ノンフィクションやモデル小説は別なのですが、登場人物の中に「天才」扱いされた登場人物(特に主人公)が出てくる小説(多くは、ライトノベルと呼ばれるものであろうと思います)がとみに目につくようになってきたように感じられます。この「天才」には2つのパターンがあるでしょうか。1つには、…
とある法学徒の社会探訪 - 「天才」の活躍を出す小説への違和感
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- 訃報 とある法学徒の社会探訪
- 法学関係で訃報が続いてしまっています。8月23日に、租税法の大家であった金子宏先生(東京大学名誉教授)が逝去されたようです。91歳だったとのことです。 その業績は、私などが書くにはあまりに巨大すぎ、「巨星落つ」の感しかありません。租税実務における先生の影響力は大きく、日本税理士…
とある法学徒の社会探訪 - 訃報
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- 訃報 とある法学徒の社会探訪
- 京都大学教授の潮見佳男先生(民法)が8月19日に亡くなったとの報が入りました。63歳だったようです。 潮見先生の学界でのご活躍は、法律家や法学徒であれば、言うまでもないところで、多数の業績・社会的貢献を遺してこられました(現在のreserchmapにおける情報はこちら)。最近の…
とある法学徒の社会探訪 - 訃報
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- 言葉の曖昧さと厳密さ ―学問と日常の差異の一場面― とある法学徒の社会探訪
- もう少しリハビリを続けたいと思います。 法学の世界ではしばしば、「法の運用は厳密でなければならないため、用語も厳格に定義される」といわれます。無論、このこと自体、私からすれば、「欺瞞」が含まれていますが、「用語を厳格に定義」しようとしていることは確かです。このことは何も法学だけ…
とある法学徒の社会探訪 - 言葉の曖昧さと厳密さ ―学問と日常の差異の一場面―
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- 違法な国費支出に対する法的救済について とある法学徒の社会探訪
- 故・安倍晋三元首相の国葬をめぐって,世論の約半数は消極的であるという調査結果が公表されました(例えば,2022年8月11日時事新聞)。また,国葬の差止めの仮処分の申立てがなされ,それが却下されたという報もありました(例えば,同月10日時事新聞)。この報道を理解するためには,3つ…
とある法学徒の社会探訪 - 違法な国費支出に対する法的救済について
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- モノを書くということ とある法学徒の社会探訪
- 書くという行為は,話すことと並んで,人間の表現の基本的な部分に属しているものと思われます(他にも,描くことや振る舞うこともまた表現ですが,特に後者を表現として的確に認識・把握している人は思いのほか少ないかもしれません)。現在には,(本ブログを含め)多くの「書かれたもの」が身の回…
とある法学徒の社会探訪 - モノを書くということ
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- 訃報 とある法学徒の社会探訪
- 早稲田大学政治経済学部教授でいらした川岸令和(カワギシ ノリカズ)先生が,2022年8月1日に逝去されたとの報に接しました。まだ60歳だったとのことです。先生のご専門は憲法学であり,特に表現(言論)の自由を中心に多くの著作を遺してこられました。先生のお名前は,天皇の御代替わ…
とある法学徒の社会探訪 - 訃報
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- 密室と刑事立証 ―鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人』を読んで―(3・完) とある法学徒の社会探訪
- ※本稿は(1)から順にお読みください。――――4.犯人性立証について仮に,犯罪構成要件実現が直接認定できず,間接証明による時には,確かに「密室」というのは大きな意味を持ち得ます。そして,ミステリーで問題とされる多くの場合には,まさにこのように「犯人性」に揺らぎがあるような場合で…
とある法学徒の社会探訪 - 密室と刑事立証 ―鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人』を読んで―(3・完)
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- 密室と刑事立証 ―鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人』を読んで―(2) とある法学徒の社会探訪
- ※本稿は(1)からお読みください。――――3.犯人性の確実性と犯行手段の特定について密室が意味を持つのは,このような直接の立証が不可能な際に,間接事実を積み上げる形で犯人性を特定する場合です。しかし,本書では,「どんなに疑わしい状況であっても,現場が密室である限り無罪であること…
とある法学徒の社会探訪 - 密室と刑事立証 ―鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人』を読んで―(2)
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- 密室と刑事立証 ―鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人』を読んで―(1) とある法学徒の社会探訪
- 1.はじめに宝島社が主催する「このミステリーがすごい!」という文学賞があります。その昨年度の文庫グランプリだったのが,本稿タイトルに掲げた,鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人』(宝島社・2022年)でした(以下,本書とします)。本書は,東京地裁で「密室の不解証明は,現場の不在証明と同…
とある法学徒の社会探訪 - 密室と刑事立証 ―鴨崎暖炉『密室黄金時代の殺人』を読んで―(1)
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- 法学学習のいくつかのコツ ―若干の思い出と共に― とある法学徒の社会探訪
- 法学徒として歩み始めて,かなりの時間がたってきました。このブログを始めたのが,記録上は,2012年1月からですので,もう10年以上になります。さすがにこれだけの時間が経つと,後進に対して法学の話をする機会も多くなり,同時に,様々な悩みを聞くことも重なってきました。今日は少し法学…
とある法学徒の社会探訪 - 法学学習のいくつかのコツ ―若干の思い出と共に―
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- 「嫌ならやめろ」から見る「契約」 とある法学徒の社会探訪
- 新年度が始まってしまいました。例によって,相当間が空いてしまいました。今年度は少しネジを締め直したいところです。 とりわけ,2020年度に世界がパンデミックに陥り,大学も様々な環境の変化が生じていました。ほとんどの講義・演習でオンライン化が実施され,キャンパスが一時的に封鎖され…
とある法学徒の社会探訪 - 「嫌ならやめろ」から見る「契約」
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- 甘やかしと支配 とある法学徒の社会探訪
- 振り返ってみると,2015年に「甘え」に関する2つの小稿を書いています(「甘えの文化」及び「甘えとわがまま」)。今回のお話もそれに連なるようなお話です。 いくつかの大学の教員から,「うちの学生は幼くて…」とか,「うちの学生は中学1年生みたいで…」と聞かされることがありました。そ…
とある法学徒の社会探訪 - 甘やかしと支配
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- 専門家と大衆 ―小説に対する評価を素材として― とある法学徒の社会探訪
- 久しぶり過ぎて,新年のあいさつという感じもなくなってしまいました。 早速ですが,今回は「小説」から見えるお話を。私が読む小説,殊に現代のものは,ミステリーやホラーと呼ばれるものにほぼほぼ偏っています。ミステリーやホラーといえば,江戸川乱歩や横溝正史といった名前を思い浮かべる人は…
とある法学徒の社会探訪 - 専門家と大衆 ―小説に対する評価を素材として―
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- 愚行権についてのメモランダム とある法学徒の社会探訪
- どうもサボり気味でよくないなと思いつつ。 最近,たまに見かけるようになった概念に,愚かな言動や選択をする権利という「愚行権」というものがあります。少し前には,自民党の経済政策のブレーンである竹中平蔵慶応義塾大学名誉教授が「みなさん(若い人)には貧しくなる自由がある……貧しさをエ…
とある法学徒の社会探訪 - 愚行権についてのメモランダム
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- 「勇気/感動を与える」? とある法学徒の社会探訪
- オリンピック競技会が終わって,10日を過ぎました。そして,パラリンピック競技会まで5日ほどになったここで,一度私なりの見立てを記しておこうと思います。 昨年来より続いている新型コロナウイルス感染症は依然衰えるところを知らず,むしろ変異型によって,悲観的な先行きを予感させます。そ…
とある法学徒の社会探訪 - 「勇気/感動を与える」?
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- 誰のためでもない生存報告 とある法学徒の社会探訪
- 最後の更新が4月末で途絶えていますが,きちんと生きています。ネタ切れや,昨年からのひきこもり生活のせいで,なかなか「社会」と向き合えていない感じがしていますが,近々何か書こうと思います。
とある法学徒の社会探訪 - 誰のためでもない生存報告
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- 民主社会でトップダウンが採用される理由(2・完) とある法学徒の社会探訪
- ※本稿は(1)からお読みください。ーーーーーそうすると,2つのことに目を向けることが可能になるでしょう。1つは,ピラミッド構造が存在しているように見えても,その実は内部での平等性が要求される(その意味で,市民社会の自由に寄与する)場面です。典型は,教育機関です。確かに校長のよう…
とある法学徒の社会探訪 - 民主社会でトップダウンが採用される理由(2・完)
読み込み中 …